○佐用町森づくり基本条例
令和3年12月20日条例第34号
佐用町森づくり基本条例
佐用町は、総面積の8割以上を森林が占めており、北部には日名倉山、船越山をはじめ険しい山々がそびえ、中部はなだらかな丘陵地、南部は千種川とその支流沿いに耕作地や住宅地へと開ける自然に恵まれた土地を有している。
森林面積の約半分を占める人工林は、伐期を迎えた9齢級以上のものが8割以上を占めており、本格的な利用が可能な森林を有効に活用するための森林整備を行う必要があり、残り半分の天然生林は、住宅地に近いものが多く、その活用がなされなくなった結果、荒廃が進み、生活インフラへの支障木対策や里山整備の重要性が高まっている。更に、度重なる台風等によって森林が甚大な被害を被ったことから、土砂災害防止機能等防災面をはじめとした森林のもつ公益的機能の維持を向上させなければならない。
以上のことから、森林の適正な維持、管理と木材利用の促進等により、全ての森林を町民の財産として次世代に引き継ぐことを決意し、ここに佐用町森づくり基本条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、森林の有する公益的・多面的機能が高度に発揮される森林を創生するため、町及び森林所有者並びに町民の責務や役割を明らかにするとともに、森づくりに関する施策その他の取組を総合的かつ計画的に推進することにより、豊かな環境、資源及び文化を育む森林の保全及び創造並びに次世代への継承に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 森林 町内に存する森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項に規定する森林(竹林を含む。)をいう。
(2) 多面的機能 土砂流出及び山地崩壊の防止、洪水軽減等の水源のかん養、自然環境の保全、地球温暖化の防止、保健休養、木材その他の林産物の生産及び供給その他森林の有する多面にわたる機能をいう。
(3) 公益的機能 多面的機能のうち、木材その他の林産物の生産及び供給を除いた機能をいう。
(4) 森づくり 森林の多面的機能を持続的に発揮させるため、森林を守り、又は育てることをいう。
(5) 森林所有者 町内に所在する森林の土地の所有者(国有林を除く。)をいう。
(6) 町民 森林整備や森林を利活用する個人及び団体等をいう。
(7) 事業者 林業、木材産業その他の林産物等の生産、流通又は加工の事業を行う者をいう。
(8) 循環型林業 多面的機能の発揮に必要な森林整備をしながら、伐る、植える、育てるという工程により資源を循環させ、同時に就業の場の確保や林産物の供給を継続させることをいう。
(基本理念)
第3条 森づくりは、現在及び将来にわたって森林に親しみ、その恵みを享受できるよう長期的な展望を持ち、地域の特性、地勢及び機能区分に応じて推進するものとする。
2 森づくりは、森林の多面的機能を発揮させるとともに、林業、木材産業等の健全な発展のため、町民、森林所有者、事業者及び町の適切な役割分担による協働により推進されなければならない。
3 森づくりを通じて、持続可能な地域の再生及び活性化を図る。
4 継続的な森林管理を行うために、森づくりの担い手を育成する。
5 佐用町有林野は、町民の重要な基本財産として、循環型林業を推進する。
(町の責務)
第4条 町は、前条に定める基本理念に従い、森づくりに関する総合的な計画を策定し、実施しなければならない。
2 町は、森づくりに関する施策を推進するに当たっては、国、県及び関係機関等と緊密な連携を図らなければならない。
3 町は、森林を常に良好な状態で維持するよう努めなければならない。
(森林所有者の役割)
第5条 森林所有者は、法の定めるところにより、基本理念に対する理解を深め、森林の多面的機能が確保されるよう、所有する森林の整備及び保全に努めるものとする。
2 森林所有者は、町が実施する森づくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。
3 森林所有者は、所有する森林の維持管理ができないと判断される場合は、早急に経営管理の委託を行う等、森林の保全に努めるものとする。
(町民の役割)
第6条 町民は、基本理念に対する理解を深め、地域の森づくりの活動に積極的に参加するとともに、森づくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第7条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、この条例に従い、森林の多面的機能の確保に十分に配慮するとともに、森づくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。
(森林ビジョン)
第8条 町長は、第4条第1項の規定に基づき、森づくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、森林ビジョンを定める。
2 森林ビジョンは、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 森づくりに関する目標及び基本方針
(2) 森づくりに関する施策の基本となる事項
(3) 森づくりを推進するための体制の整備に関する事項
(4) 前3号に掲げるもののほか、森づくりを総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 前項第2号及び第3号については、定期的に関係者相互による進捗確認を行うこととする。
4 森林ビジョンは、法令のほか、国及び県が定める森林整備計画に基づき、策定するものとする。
5 町長は、必要があると認めたときは、森林ビジョンを見直すことができる。
6 町長は、森林ビジョンの策定及び見直しに当たっては、あらかじめ森林所有者、町民、事業者等の意見を反映することができるよう必要な処置を講ずるものとする。
7 町長は、森林ビジョンの策定及び見直しをしたときは、これを公表するものとする。
(森づくりの推進)
第9条 町は、地域の特性に応じた森づくりと多面的機能の確保のため、森林の施業の実施に必要な措置を講ずるものとする。
2 町は、森林所有者及び町民並びに事業者による森林の施業の円滑な実施に必要な措置を講ずるものとする。
(林業の健全な発展)
第10条 町は、林業と木材産業の健全な発展のため、生産基盤の整備、木材産業の強化、林業労働者の確保その他の必要な措置を講ずるものとする。
(町民の理解の促進)
第11条 町は、森づくりに対する町民の理解を促進するため、情報の提供及び森林と親しみ触れ合う機会の充実に必要な措置を講ずるものとする。
(立入調査)
第12条 町長は、この条例の施行に必要な調査のため、職員を森林に立ち入らせることができる。
2 前項の規定により立入調査をする職員は、身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示するものとする。
(関係法令の遵守等)
第13条 何人も、森林に立ち入る際には、関係法令を遵守するとともに地域の社会慣習を尊重し、森林環境の保全に努めなければならない。
(委任)
第14条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、町長が別に定める。
附 則
この条例は、令和4年1月1日から施行する。